蔦温泉旅館は、奥入瀬渓流近くの南八甲田にある一軒宿です。青森県では、酸ヶ湯温泉と蔦温泉のみが日本百名湯に選ばれています。蔦温泉は1147年には既に現在の場所にあったそうで、1918年には現在の本館もオープンしています。全国には、源泉をお風呂に引き込む「源泉かけ流し」というタイプの温泉は多いのですが、蔦温泉は、浴槽の下にある源泉からお湯が湧きだす「源泉湧き流し」というタイプの温泉です。このタイプの温泉は珍しく、全国に30ヶ所くらいしか存在しないそうです。「源泉湧き流し」の温泉である「久安の湯」は、もともと混浴でしたが、現在は男女が時間別に入れるようになっています。もう1つの「泉響の湯」は、作家の井上靖氏が名付け親で、男女別の湯です。蔦温泉は作家に人気の温泉だったようで、大町桂月はこの場所を終の棲家としました。本館のリニューアルを期に「大町桂月 資料館」がオープンし、温泉のついでに無料で見学することができます。リニューアルにより、「桂月の間」などベッドで寝るタイプの特別室も誕生しました。